京風の豆腐をひっさげて、あかね空
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いい話京風の豆腐をひっさげて、江戸で店を構えた永吉とその妻おふみとその家族の波乱万丈の物語(時間でいえば五十年ほどに渡る)。江戸とは違う京豆腐が受け入れられるまでの苦心と成功の話でもあるが、それだけではない。家庭内での行き違いやトラブルがありつつも、家族が一緒に協力してやっていく様子も作品の一つの柱となっている。前半は永吉一家の成功を祈りながら割と気分よく読めるのだが、家庭の問題が積み重なる後半はどうしてもやや沈鬱な気分になるわけだが、それはおもしろさを阻害するものではない。むしろ単純なハッピーエンドに終わらせない意気込みを感じる。描写においては、作中人物の目線やちょっとした仕草を、最近みたことないくらいに丁寧に(とはいえくどくならない程度に)書いており、かなり映像に近いものとして頭に浮かんでくる。個人的にはそれがちょっとした特徴として気に入った。
気持ちのいい読後感安心していい小説が読みたくて、手に取った小説。
期待通りでスッキリと読めました。
中盤から、いろんな事がうまくいかない、
伝えたい事が伝わらないことで、
もどかしさを感じつつ、
最後は気持ちよくまとめるのは、さすがです。
残念だったのは、
永吉、おふみがもうちょっと浮かばれてほしかった。
時代物なので読みづらいと思いきや、
とても気持ちよく頭に入ってくる文体で、
あいかわらずいい読後感が味わえます。
後半は読む楽しさが半減した前半と後半で評価を分けたい。前半が星5つ、後半は星3つかな。
まず前半。
京から江戸に上って来て豆腐屋を開業する永吉と、その妻となるおふみを中心に物語が展開するのだが、その展開が一本筋で、とても読みやすい。
くどくどした説明文がほとんどなく、実に刻々と素直な時間経過で、流れるように話が進んで行く。
だらだらした文体ではなく、エピソードの一つ一つが小気味よく語られるのも話の展開が速い理由だろう。
ふたりを取り巻く家族や近所の人間関係もさわやかで、ほのぼのとしたホームドラマを見ているように、気持ちよく読み進めることができる。
それから後半。
永吉とおふみに子供ができたあたりから、ちょっと展開が変わって来る。
話の展開を遮るように、夫婦や子供たちの個人の視点で回顧が繰り返され、これまでの出来事に対するそれぞれの視点からの事実が語られるのである。
明るくはきはきした娘だったおふみが、ゆがんだ性格の中年として描かれて行く(それは表面上でのことなのだが)ため、ゆったりとした気持ちで読み進めない。
できれば、周りの隠された好意や悪意が、当事者たちにすっきりと分かって大団円となれば読後感も良いのだけど、
それを知らないまま当時者が死んでしまい、小説の中だけで事実が語られてもなんだかなぁ、とも思う。
親子二代、30年間の物語だし、読む者だけがすべてを分かればそれでいいのでしょう。あかね空 (文春文庫)